響子さんの書斎 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2004-07-17

[]修道院 20:51 修道院 - 響子さんの書斎 を含むブックマーク

自分のサイトのFT創作広場でアップしていたものなんですが、幻想作品愛好会に引っ越してきました(^_^;)。


創作ノートを読み返していたら、修道院について書き写した文章が目に留まった。

饗庭孝男 氏の修道院の写真集のエッセイがツボで、書き写したものだった。なぜ石の遺跡に惹かれるのか、その文章が言い表していたからだ。

「それを刻み、重ね、削り、ととのえ、積み上げていった人々はたしかに存在した。だが彼らはことごとく世を去り、石積がそして柱のみが彼らの生のあかしのごとく残っている。つまり私は彼らの生に触れているのであった。

信仰というものは、このようなものだ。

石があるのではなかった。彼らが現存しているのである。」

昼下がり、時の洗礼を受けた修道院の中庭で立ちつくす時、その石に刻まれた記憶が蘇ってくるような。中世の修道士たちのひそやかな衣擦れの音が聞こえてくるような。そんな妖しい思いにとらわれる瞬間。

時間は一直線に流れているのではなくて、過去も今も同時に存在しているという感覚。

実際に私はヨーロッパの修道院に行ったことはないけれど、その修道院の写真を眺めているだけで、その感覚をリアルに想像できる。

いつか本当に昼下がりの回廊に佇むのが夢なのだ。


饗庭孝男 氏の修道院の写真集を私は図書館で借りました。修道院の静謐な石の空間をとらえた写真がいっぱいで、雰囲気をつかむなら最高の本なんですが、amazonで検索しても見つかりませんでした。残念。

2004-06-27

[]密林に眠る都 23:39 密林に眠る都 - 響子さんの書斎 を含むブックマーク

アンコール・ワットの出会いは小学校4年生のときだった。図書室で手に取ったアンコールワットの本が、始まり。

それはアンリ・ムオの探検記をジュニア向けに編集した本で、一目で魅せられた。

――密林に消えた都。

という言葉と、密林のなか、朽ちていく大寺院の表紙。

その妖しい美しさにドキドキした。

王は非凡である。王国の繁栄のために、夜ごと神(女性の姿をした9つ頭の蛇精)と契りを結ぶ。

この文章だけで、女神と王と人の娘が織りなす滅びへと誘う恋の物語が生まれないだろうか。王は人であって人で非ず。女神と契りを交わした神の領域の存在。もし、王が神と人とを結ぶ契りより、人の娘との人としての恋を取ったとしたらどうなるのか。

アンコール王朝は繁栄を極め、唐突に歴史から姿を消した。

その滅びの原因が何だったのか、密林に眠る都は語らない。

定説では1431年ごろに、カンボジア王は都を去った。

新たな宮廷はトンレ・サップ湖の南スレイ・サントールに設営された。

次第に脅威を増すシャムから遠ざかるためである。

都の放棄は、盛大な出発という形をとったのだろうか。

年代記にあるとおり、「ポンニャ・ヤット王は、将軍、貴顕、大臣、女官や従僕に付き添われ、広大なアンコール・トム内の高貴で格調高い王宮から、王の乗り物である専用の丸木舟で船出した」のだろうか。

それとも、シャムの侵攻による混乱のなか出発したのか。

たしかに、アンコールは略奪され、荒廃した。

(『アンコールワット』ブリュノ・ダジャンス著 創元社より抜粋)

都を棄てていく情景を目の当たりにしたかのような気さえする。

シャムの侵攻による混乱のなか、我先にと逃げ出す人々。その都の大通りに立ちつくしているような……


――遺棄された都は、ゆっくりと密林に飲み込まれていった。

アンコール・ワットの本を読み終わった私は、落日に染まった部屋で呆然と座っていた。時空を越えていた魂が元に戻っていない感じだった。

あれから、私は落日に燃えるアンコール・ワットの魔法にかけられたままだ。

冬木洋子冬木洋子2004/06/28 07:52響子さん、参加に当たってはお世話になりました。響子さんの補足説明がすごくわかりやすくて、本当に助かりました。こちらでも響子さん語りが聞けて嬉しいです!

響子響子2004/06/28 23:25冬木さん、お役にたてて嬉しいです(^^)。冬木さんの語り楽しみにしています♪ 異世界召喚のお話とか。わくわく